本位制と、暗号通貨と、牛乳瓶のフタ
2014/01/23 16:15
最近ウワサのBitcoinとかモナーコインとかなんぞや?
日本円は裏打ちがある!安心!
暗号通貨は裏打ちがない!不安!
そんな風に思ってる人はかなり多いんじゃないでしょうか。
でも、日本円の裏打ちってなんだ?
そもそも通貨って何?
その昔、通貨といえば金貨でした。金メダルの金。
金メダルを噛むってのは
「本物の金なら軟らかいから歯形が付くはずだ」
って確かめから来てるんです。
さて、金貨だと安心。なにせ金です。
金がいきなり無価値になるなんて事はないです。
金貨そのものが通貨の信用の裏打ちなのです。
これを、金貨本位制といいます。
でもこれでは不便。なぜなら、金貨ってすごく重い。
そこで、偉い人は考えました。
「その1ドル紙幣を持ってくれば、1ドル分の金といつでも交換してやる」
「だからお前らは紙幣でもっとけ。金地金は中央銀行で保管しとくから」
金と同じ価値の紙幣「兌換紙幣(だかんしへい)」を持たせようという発想です。
これでお財布は軽くなりました。
これを、金地金本位制といいます。
しかし、これでは政府にとって不都合が出てきました。
地球に埋まってる金には限りがあります。
人間の経済を支えるのに金は少なすぎました。
中央銀行は同じ量の金地金を持っておかないといけません。
政府が危ないからって紙幣を増やすなんてことはできないのです。
なので、金との交換をやめました。
これで、政府が赤字になったら刷る量を増やせる。
逆に、経済が暴走したら刷る量を絞る。
たまにニュースで出てくるマネーサプライとかはそのあたりの言葉です。
これを管理通貨制度といいます。
でもこれって、裏打ちは何でしょう?
実は「みんなが通貨をお金だと思ってる信用」が裏打ちなんです。
ここで、ピタゴラスイッチの中の人&竹中平蔵の対談を見てみましょう。
-引用ここから-
佐藤 子供の頃、こんなことがあったんです。
小学校のとき、給食で牛乳が配られますよね。僕の頃はまだ紙パックではなく牛乳瓶でした。その牛乳瓶のフタを僕があるときから集め出して、みんなのをもらって机に入れてたんですね。
そのうちにそれが僕のまわりでも流行り始めた。そうするとフタの価値がどんどん上がっていくわけです。それで、僕は隣のクラスまで行って、「ちょっと牛乳のフタくれない?」「なんでだよ?」「いや、いいから」というようなやりとりの末、もらってくるのです。
そうすると、隣のクラスでも急に牛乳瓶のフタに価値が芽生えて、次の日からは「嫌だよ。もうやらない」となるわけですね。
僕は最初に集め始めたからすごくたくさん持っていたんで、傷もののフタ十枚と新しいの一枚とを交換してあげたり、隣町の牛乳屋さんまで行ってこの珍しいフタを持ってくるようなことまでし始めたんです。そうしたらその隣町の一枚が二十枚分ぐらいの価値を持ったりして、一学年全部のクラスまで行ってやりとりするようになったんですね。
そんなことをしているうちに僕の机の中には立派なフタがワンサカうなってるようになったんです。
竹中 フタの大富豪になったわけですね。(笑)
佐藤 そうなんです。そうすると、フタだけの交換におさまらず、かっこいい消しゴムをフタ十枚と交換するとか、そうじ当番を二十枚で交代するなんてことがクラスに起こってきたり、僕自身、机の中に特に大切なフタを、帰るときにカバンに入れて持ち帰ったりしてました。冷静に考えれば、たかがフタごときに、ですよ。
そのうち、さらに東京の親戚の家に「牛乳瓶のフタ送ってくれない?」なんて電話し始めるんです。で、それを今度はまた学校に持っていって「これが東京のフタ」とかって…。みんな「おー、すげ」と目を輝かせるですよ。
-- 経済ってそういうことだったのか会議 日本経済新聞社(2000)佐藤雅彦・竹中平蔵
-引用ここまで-
とまあ、単なる紙のフタが
「消しゴムと交換できる」という信用や
「掃除当番を変わってくれる」という信用。
市中の信用に裏打ちされて、
価値が生まれていくわけです。
日本円も「スーパーに行けば消しゴムが買える」
「ダスキンに行けば掃除してくれる」
という信用が日本円を裏打ちしているわけです。
しかし、これからが怖い。
フタは誰が供給してるんでしょう?
誰かが供給量を管理してるんでしょうか?
管理通貨制度の落とし穴があります。
-引用ここから-
佐藤 ところがですね、一ヶ月ぐらい経ったある日、クラスの誰かが、大量の真新しいフタを透明な大きなビニール袋に、それこそ何百枚も詰めて教室に持ってきたんです。
どうも牛乳屋さんの親戚がいたらしいんですね。そいつから言わせたら「どうだ、すごいだろ」という感じだったわけですけど、それを見た途端、僕たちの中で何かが失われたんですね。フタに対して貴重に思う気持ちというか、一言でいえばフタの価値でしょうか。
その日を境にあれほど大切にしていたフタがときどき、教室のすみにボツボツと落ちてたりするようになるんです。そうなると、クラス中に「牛乳瓶のフタ熱」のようなものが急激に冷めてしまって、みんなも「もう、つまらないや」ってゴミ箱に捨て始めるんですよ。
僕だってゴミ箱にある物を拾うわけにはいかないですよね。そうしたら隣のクラスにもそれが伝播して、牛乳瓶のフタはただの紙になっちゃったわけです。
そうなると、一番たくさん持っている僕が馬鹿みたいなんです。なに机の中にゴミ入れて…という感じですね。僕自身も昨日まであんなに価値があるように思えた牛乳瓶のフタがゴミに見えてくるんですね。もう、渋々捨てるしかないんですよ。あのフタの価値の失われ方…。
もう本当にびっくりしました。
-- 経済ってそういうことだったのか会議
-引用ここまで-
このように、管理してる人がいないから「市中での信用」がなくなっちゃったんですね。
管理してても、お金の刷る量を間違えれば、価値は暴落します。
そんな国ありましたよね。ジンバブエ&ドイツ。
つまり、管理通貨制度では、「政府の金融政策」が「市中での信用」を、そして価値を左右するのです。
経済が不安定なスペインやギリシャでは、市民が「このお金本当に価値があるのか?」と疑い始めました。
これまでを振り返ってみると、それぞれの制度に問題がありました。
金貨は重い。
兌換紙幣では金が足りない。
管理通貨では政府の政策次第。
どれもいまいちです。
そして、少額決済がやりにくい。
ストリートミュージシャンに10円投げ銭するなら何の問題ないです。
手数料なんてない。
B'zのライブをチケットぴあで8500円で買うのなら問題ないです。
手数料は315円くらいのもんです。
でも、ネットで投げ銭するには?
10円投げ銭するのに手数料315円?
そこで偉い人は考えました。
「暗号を裏打ちにすればいいんじゃないの?」
ナカモト・サトシさんの登場です。
お金は、振り込むときコピーされると困ります。
お金は、振り込むとき間違いなく相手の口座が増えて、
同時に同じだけ間違いなく自分の口座が減らないといけません。
これを、トランザクションといいます。
今までその仕事は銀行がやってました。
その分手数料が取られたわけですね。
これを、個人でやってしまおうというのが暗号通貨。
「この取引は間違いない?不正とかコピーとかない?」
という確認作業を、暗号に変換してマイナー(採掘者)に確認してもらうのです。
この確認をいち早く行った人に、コインが湧いて出てくる。
その間約5分。
採掘者の方々のGPUは、こういう確認作業を延々と頑張っているのです。
これが、個人間通貨・P2P通貨といわれる理由ですね。
そして、その湧いて出てくるコイン量は、あらかじめ一定と決められているので、
牛乳瓶のフタが何百枚もあふれる心配もないです。
そうすると疑問は、
「採掘者なら不正ができるのでは?」
というもの。
ええ。理屈上はできます。
ただ、採掘者は一人じゃないです。
相互に監視しあって不正があれば拒絶するようにプログラムができてます。
過半数を超える速度で暗号を解読すると不正ができてしまいます。
これが暗号通貨で出てくる「51%攻撃」の正体です。
ただ一人でそんな莫大な計算は現実上不可能です。
たとえばBitcoinを攻撃しようとすると、
世界最高を勝ち取ったスパコン「京」が、
電力換算でだいたい建物4つ必要です。
ということで、政府の政策に左右されることはなくなりました。
そして「市中での信用」。
これが暗号通貨が発展するカギです。
「暗号通貨で消しゴムが買える」
こういう場所が増えれば、暗号通貨に価値が生まれます。
MONA JUNK Parts shop ができました。
モナオク ができました。
モナーコインを発展させるのは、みんな、なのです。
ということで、投げ銭してくれると、
それはとっても嬉しいなって
(MONA)MD87JALVBPmqX4xHxLgnfBWV7mffZM6Xu7
あと省略とかは勘弁してほしいけど、この文章は無断転載OKです。
最近ウワサのBitcoinとかモナーコインとかなんぞや?
日本円は裏打ちがある!安心!
暗号通貨は裏打ちがない!不安!
そんな風に思ってる人はかなり多いんじゃないでしょうか。
でも、日本円の裏打ちってなんだ?
そもそも通貨って何?
その昔、通貨といえば金貨でした。金メダルの金。
金メダルを噛むってのは
「本物の金なら軟らかいから歯形が付くはずだ」
って確かめから来てるんです。
さて、金貨だと安心。なにせ金です。
金がいきなり無価値になるなんて事はないです。
金貨そのものが通貨の信用の裏打ちなのです。
これを、金貨本位制といいます。
でもこれでは不便。なぜなら、金貨ってすごく重い。
そこで、偉い人は考えました。
「その1ドル紙幣を持ってくれば、1ドル分の金といつでも交換してやる」
「だからお前らは紙幣でもっとけ。金地金は中央銀行で保管しとくから」
金と同じ価値の紙幣「兌換紙幣(だかんしへい)」を持たせようという発想です。
これでお財布は軽くなりました。
これを、金地金本位制といいます。
しかし、これでは政府にとって不都合が出てきました。
地球に埋まってる金には限りがあります。
人間の経済を支えるのに金は少なすぎました。
中央銀行は同じ量の金地金を持っておかないといけません。
政府が危ないからって紙幣を増やすなんてことはできないのです。
なので、金との交換をやめました。
これで、政府が赤字になったら刷る量を増やせる。
逆に、経済が暴走したら刷る量を絞る。
たまにニュースで出てくるマネーサプライとかはそのあたりの言葉です。
これを管理通貨制度といいます。
でもこれって、裏打ちは何でしょう?
実は「みんなが通貨をお金だと思ってる信用」が裏打ちなんです。
ここで、ピタゴラスイッチの中の人&竹中平蔵の対談を見てみましょう。
-引用ここから-
佐藤 子供の頃、こんなことがあったんです。
小学校のとき、給食で牛乳が配られますよね。僕の頃はまだ紙パックではなく牛乳瓶でした。その牛乳瓶のフタを僕があるときから集め出して、みんなのをもらって机に入れてたんですね。
そのうちにそれが僕のまわりでも流行り始めた。そうするとフタの価値がどんどん上がっていくわけです。それで、僕は隣のクラスまで行って、「ちょっと牛乳のフタくれない?」「なんでだよ?」「いや、いいから」というようなやりとりの末、もらってくるのです。
そうすると、隣のクラスでも急に牛乳瓶のフタに価値が芽生えて、次の日からは「嫌だよ。もうやらない」となるわけですね。
僕は最初に集め始めたからすごくたくさん持っていたんで、傷もののフタ十枚と新しいの一枚とを交換してあげたり、隣町の牛乳屋さんまで行ってこの珍しいフタを持ってくるようなことまでし始めたんです。そうしたらその隣町の一枚が二十枚分ぐらいの価値を持ったりして、一学年全部のクラスまで行ってやりとりするようになったんですね。
そんなことをしているうちに僕の机の中には立派なフタがワンサカうなってるようになったんです。
竹中 フタの大富豪になったわけですね。(笑)
佐藤 そうなんです。そうすると、フタだけの交換におさまらず、かっこいい消しゴムをフタ十枚と交換するとか、そうじ当番を二十枚で交代するなんてことがクラスに起こってきたり、僕自身、机の中に特に大切なフタを、帰るときにカバンに入れて持ち帰ったりしてました。冷静に考えれば、たかがフタごときに、ですよ。
そのうち、さらに東京の親戚の家に「牛乳瓶のフタ送ってくれない?」なんて電話し始めるんです。で、それを今度はまた学校に持っていって「これが東京のフタ」とかって…。みんな「おー、すげ」と目を輝かせるですよ。
-- 経済ってそういうことだったのか会議 日本経済新聞社(2000)佐藤雅彦・竹中平蔵
-引用ここまで-
とまあ、単なる紙のフタが
「消しゴムと交換できる」という信用や
「掃除当番を変わってくれる」という信用。
市中の信用に裏打ちされて、
価値が生まれていくわけです。
日本円も「スーパーに行けば消しゴムが買える」
「ダスキンに行けば掃除してくれる」
という信用が日本円を裏打ちしているわけです。
しかし、これからが怖い。
フタは誰が供給してるんでしょう?
誰かが供給量を管理してるんでしょうか?
管理通貨制度の落とし穴があります。
-引用ここから-
佐藤 ところがですね、一ヶ月ぐらい経ったある日、クラスの誰かが、大量の真新しいフタを透明な大きなビニール袋に、それこそ何百枚も詰めて教室に持ってきたんです。
どうも牛乳屋さんの親戚がいたらしいんですね。そいつから言わせたら「どうだ、すごいだろ」という感じだったわけですけど、それを見た途端、僕たちの中で何かが失われたんですね。フタに対して貴重に思う気持ちというか、一言でいえばフタの価値でしょうか。
その日を境にあれほど大切にしていたフタがときどき、教室のすみにボツボツと落ちてたりするようになるんです。そうなると、クラス中に「牛乳瓶のフタ熱」のようなものが急激に冷めてしまって、みんなも「もう、つまらないや」ってゴミ箱に捨て始めるんですよ。
僕だってゴミ箱にある物を拾うわけにはいかないですよね。そうしたら隣のクラスにもそれが伝播して、牛乳瓶のフタはただの紙になっちゃったわけです。
そうなると、一番たくさん持っている僕が馬鹿みたいなんです。なに机の中にゴミ入れて…という感じですね。僕自身も昨日まであんなに価値があるように思えた牛乳瓶のフタがゴミに見えてくるんですね。もう、渋々捨てるしかないんですよ。あのフタの価値の失われ方…。
もう本当にびっくりしました。
-- 経済ってそういうことだったのか会議
-引用ここまで-
このように、管理してる人がいないから「市中での信用」がなくなっちゃったんですね。
管理してても、お金の刷る量を間違えれば、価値は暴落します。
そんな国ありましたよね。ジンバブエ&ドイツ。
つまり、管理通貨制度では、「政府の金融政策」が「市中での信用」を、そして価値を左右するのです。
経済が不安定なスペインやギリシャでは、市民が「このお金本当に価値があるのか?」と疑い始めました。
これまでを振り返ってみると、それぞれの制度に問題がありました。
金貨は重い。
兌換紙幣では金が足りない。
管理通貨では政府の政策次第。
どれもいまいちです。
そして、少額決済がやりにくい。
ストリートミュージシャンに10円投げ銭するなら何の問題ないです。
手数料なんてない。
B'zのライブをチケットぴあで8500円で買うのなら問題ないです。
手数料は315円くらいのもんです。
でも、ネットで投げ銭するには?
10円投げ銭するのに手数料315円?
そこで偉い人は考えました。
「暗号を裏打ちにすればいいんじゃないの?」
ナカモト・サトシさんの登場です。
お金は、振り込むときコピーされると困ります。
お金は、振り込むとき間違いなく相手の口座が増えて、
同時に同じだけ間違いなく自分の口座が減らないといけません。
これを、トランザクションといいます。
今までその仕事は銀行がやってました。
その分手数料が取られたわけですね。
これを、個人でやってしまおうというのが暗号通貨。
「この取引は間違いない?不正とかコピーとかない?」
という確認作業を、暗号に変換してマイナー(採掘者)に確認してもらうのです。
この確認をいち早く行った人に、コインが湧いて出てくる。
その間約5分。
採掘者の方々のGPUは、こういう確認作業を延々と頑張っているのです。
これが、個人間通貨・P2P通貨といわれる理由ですね。
そして、その湧いて出てくるコイン量は、あらかじめ一定と決められているので、
牛乳瓶のフタが何百枚もあふれる心配もないです。
そうすると疑問は、
「採掘者なら不正ができるのでは?」
というもの。
ええ。理屈上はできます。
ただ、採掘者は一人じゃないです。
相互に監視しあって不正があれば拒絶するようにプログラムができてます。
過半数を超える速度で暗号を解読すると不正ができてしまいます。
これが暗号通貨で出てくる「51%攻撃」の正体です。
ただ一人でそんな莫大な計算は現実上不可能です。
たとえばBitcoinを攻撃しようとすると、
世界最高を勝ち取ったスパコン「京」が、
電力換算でだいたい建物4つ必要です。
ということで、政府の政策に左右されることはなくなりました。
そして「市中での信用」。
これが暗号通貨が発展するカギです。
「暗号通貨で消しゴムが買える」
こういう場所が増えれば、暗号通貨に価値が生まれます。
MONA JUNK Parts shop ができました。
モナオク ができました。
モナーコインを発展させるのは、みんな、なのです。
ということで、投げ銭してくれると、
それはとっても嬉しいなって
(MONA)MD87JALVBPmqX4xHxLgnfBWV7mffZM6Xu7
あと省略とかは勘弁してほしいけど、この文章は無断転載OKです。
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